百合展とは

「百合展」は女性同士の友情や愛情を意味する「百合」をテーマとしたヴィレッジヴァンガード主催の展示フェアです。今年で4回目となる本展は、2016年からスタートし毎年の来場者数が1万人を越えるなど少しずつ規模や多様性を拡張しながら今日に至りました。今年も昨年とは異なる新たな作家ラインナップ・展示内容で開催いたします。作家の皆様の描き下ろしグッズも多数ご用意しております。

「百合」の魅力を詰め込んだ「百合展2019」を今年もどうぞお楽しみください。

序文

「百合」って何だろう? 端的に言えば、女の子同士の感情をともなう関係性――恋愛に限らず、友情や愛情、敬愛、嫉妬といった強い感情がともなえば百合だと個人的には思っていますが、それは人によって違うでしょう。なぜかというと、彼女たちを観測し、百合だと思うのは“あなた”自身だから。誰にも後ろ指をさされない自分だけの聖域……そんな、それぞれの思う百合を表現した作品を集めたのが、こちらの百合展です。

百合は豊かな季節を迎えています。作品数の増加はもちろん、百合アンソロジーは社会人(大人)百合、年の差百合、人外×人間百合……とテーマ別に続々と出版され、百合アンソロジーの休刊が相次いだ時代があったことなど嘘のようです。百合特集が組まれた雑誌の驚異的な重版のニュースは記憶に新しく、識者によるトークショーの開催、同志たちが集い語る場が生まれたりと、各所で百合が盛り上がっています。SNSでも日々、商業・個人的な創作問わず百合作品が流れてくるので、ただ口を開けていても百合が摂取できる。飢餓感や危機感はまるで無く、穏やかな陽だまりの中にいるようで……今この状況が、たぐいまれなる幸いであることをつい忘れそうになるのですが、それではいけないと気を引き締めています。

今年で四回目となる百合展。特筆すべきは、ラインナップのさらなる多様化。媒体としては新たに映画とゲームが加わり、平成最後の百合展に相応しい充実の内容となっております。また、居心地のよい空間作りも健在です。そこには、おひとりおひとりに一切の気兼ねなく過ごしていただきたい、性別も年齢も関係なく、ただ百合が好きという気持ち(あるいはご興味)だけを胸にお越しいただきたいという願いがあります。ぜひこの素敵な空間を、目と耳と心で感じていただきたいです。

百合愛を深めたり、初めての百合に出会ったり、百合とは何かと見つめ直したり。どうか素敵な出会いが皆さまに訪れますように。開催、おめでとうございます。いつの時代も百合と寄り添う場であることを願って。

綾奈 ゆにこ

脚本家/『ちいさい百合みぃつけた』(KADOKAWA刊)著

過去の百合展

メインビジュアル

今年のメインビジュアルは仲谷鳰×高橋みのり

毎年恒例の漫画家 × 写真家のメインビジュアルは漫画家・仲谷鳰(やがて君になる) × 写真家・高橋みのりが担当しました。今年も本展の為の描き下ろし・撮り下ろし作品となります。